注目する力「注視」

就学前に「見る力」がどのくらいあるのか、学校での支援や配慮が必要となるのかどうか知りたいという保護者からの依頼で検査を実施しました。今では小学2年生。1年生から習い始めた空手は、小学生一般の部門で準優勝するほどの実力です。

でもこのお子さん、生まれつき弱視があり視力も上がりにくく、メガネを使用しても「0.2~0.3」くらいです。斜視や眼球振盪もあるため、就学前では「見えにくさ」から非常に生活が荒れていました。

園や学校も非常に協力的で、この子に何をすればいいのか常に前向きに検討してくださり、本人・保護者の努力もつながって、今では落ち着いて取り組むことができるようになっています。

 

私がこのお子さんにビジョントレーニングを通じて最初につけてもらいたかった力は、注目する力「注視」でした。そして園や家庭では、プリントなどの教材・教具を拡大していただくようお願いをしました。

トレーニングを開始して4ヶ月ほど経過したときに保護者から、

「先生のトレーニングを受けるようになってから、うちの子ね、野菜を食べなくなったんです。どうしてくれるんですか。」と言われました。

「???」と返答に困ってしまった私を見て、

「今までは、きっとよく見えていなかったから何でも口に運んでいたんですね。でも注目することを練習して、これは野菜だ!と見分けることができるようになったんです。あぁ、うちの子もみんなと一緒で野菜が嫌いだったんだということが分かりました。」と、とても嬉しそうに話してくれました。

 

日常生活や学習場面において、注目をすることはとても大切であると改めて認識することができたエピソードです。たとえ視力が上がりにくくても、どのようにすれば少しでも現状を改善することができるのか、そのきっかけ作りをすることが私の役割であると思います。